「お肉の値段が高い」の背景——配合飼料の価格が2026年度も高止まり
「最近、お肉の値段が上がったね」という声を、店頭でもよくいただきます。その背景の1つが、牛や豚、鶏を育てるためのエサ「配合飼料」の価格です。2026年度に入ってからも値上がりが続いており、畜産農家の経営を圧迫しています。今回は、配合飼料の仕組みと最新の価格動向について、公的な資料をもとにご紹介します。
🌾 配合飼料ってなに?
配合飼料は、トウモロコシや大豆かす、麦類などの原料を、牛・豚・鶏それぞれの成長段階や体格に合わせて配合したエサです。牛は牧草や稲わらなどの粗飼料もあわせて与えられますが、豚や鶏は配合飼料への依存度が特に高いといわれています。実は、これらの原料の多くを海外からの輸入に頼っており、国内でまかなえる量はごくわずかです。そのため、海外の穀物相場や為替の動きに、飼料価格が大きく左右されるという特徴があります。
2026年は値上げが3期連続に
JA全農の発表によると、2026年1〜3月期の配合飼料価格は、前の四半期と比べて全畜種平均で1トンあたり約4,200円(約5.1%)の値上げとなりました。新しい価格は平均8万6千円程度で、4期ぶりの上昇です。続く4〜6月期も全畜種平均で約1,250円、7〜9月期はさらに約3,700円の値上げが決定しました。これにより、値上げは3期連続で続いています。
値上げの背景には、シカゴ定期のとうもろこし相場の上昇や、大豆かす・海上運賃の値上がり、円安の進行など、複数の要因が重なっています。7〜9月期の発表によれば、シカゴとうもろこしは2026年2月に1ブッシェルあたり430セント前後で推移していましたが、5月上旬には480セント前後まで上昇しました。為替も、2月の1ドル155円前後から、160円前後まで円安が進んでいます。原油価格の上昇によって、その他の原料も値上がりしているとされています。飼育期間が長い牛は、こうした値上がりの影響を長い期間にわたって受け続けることになります。
相場が高くても、農家がラクになるわけではない
実は、牛肉の枝肉相場は高い水準が続いています。それでもエサ代がそれ以上に重くのしかかると、農家の手取りはなかなか増えません。売値が上がっても、コストの上昇がそれを上回ってしまう。これが、いまの畜産現場の現実です。
エサ代の上昇は、生産者の経営だけでなく、店頭のお肉の価格にもじわじわと波及していきます。特に牛は出荷までの飼育期間が長いため、エサ代の変化が価格に反映されるまでにも時間がかかります。豚や鶏は出荷までの期間が牛より短い分、エサ代の変動が経営にあらわれるスピードも比較的早いといわれています。いずれにしても、飼育頭数を維持しながらエサ代の上昇分を吸収するのは、簡単なことではありません。
配合飼料価格安定制度という支え
こうした急な価格上昇に備えて、国には「配合飼料価格安定制度」という仕組みがあります。生産者と配合飼料メーカーによる積立(通常補塡)に加え、価格が大きく上昇した際は国とメーカーの積立(異常補塡)も発動し、生産者へ補填する二段構えの制度です。同制度は年度をまたいで四半期ごとに運用が続いており、2026年度も補填が実施されています。ただし、補填があっても値上がり分のすべてを穴埋めできるわけではなく、生産者の負担が消えるわけではありません。価格の変動を和らげるための備えとして、こうした制度が生産現場を支えています。
エサ高の中でも、品質を守るための工夫
エサの高騰が続く中でも、生産者のみなさんは配合の見直しや飼育管理の工夫を重ねながら、家畜の健康と肉質を保つ努力を続けています。与えるエサの量やタイミングを細かく調整したり、粗飼料をうまく組み合わせたりと、コストと品質のバランスを取るための試行錯誤が日々続いています。店頭のお肉の価格には、こうした生産現場の努力とコストが詰まっています。私たちも仕入れの工夫を重ねながら、一頭一頭のお肉を無駄なく、価値あるかたちでお届けしていきます。