1. HOME
  2. ブログ
  3. お肉の知識
  4. 「培養肉」って何だろう? 牧場直営店が、いま分かっていることだけお話しします

BLOG

ブログ

お肉の知識

「培養肉」って何だろう? 牧場直営店が、いま分かっていることだけお話しします

ニュースで「培養肉」という言葉、見かけませんか

ここ最近、テレビやネットのニュースで「培養肉(ばいようにく)」「細胞性食品」という言葉を目にする機会が増えてきました。お肉を扱う私たちのところにも、「あれって本物のお肉なの?」「もう売っているの?」とお尋ねいただくことがあります。

賛成・反対のさまざまな意見があるテーマですので、私たちは良し悪しを決めつけることはしません。このコラムでは、いま分かっている事実だけを、できるだけ分かりやすくお伝えします。


そもそも「培養肉」とは何でしょう

培養肉は、牛や鶏などの細胞を取り出して、それを工場のタンクの中で培養(人工的に増やすこと)して作る食品です。国(消費者庁)の審議会では、当面のあいだ「細胞培養食品(仮称)」という呼び名で議論が進められています(このほか「細胞性食品」と呼ばれることもあります)。海外でも「Cultured meat(カルチャードミート)」「Cell-based food」など、さまざまな呼び方があります。

牧場で牛を2〜3年かけて育てて……という昔ながらの畜産とは、作り方がまったく違う新しい食べものです。世界では研究や、一部の国(シンガポールやアメリカなど)での販売が始まっていますが、日本ではまだ一般に市販されていません。「売ってよいかどうか」「どうやって安全を確かめるか」のルールづくりが、いままさに進められているところです。


日本のルールづくりは、今ここまで来ています(2026年の動き)

2026年に入って、国の検討が大きく前進しました。事実を時系列で整理します。

  • 2026年2月5日:消費者庁の「食品衛生基準審議会 新開発食品調査部会」で、安全性を確かめるためのガイドラインの骨子(案)が示されました。
  • 2026年3月30日:培養食品をつくる企業や研究団体からの説明・意見聴取(ヒアリング)が行われました。
  • 2026年5月28日:「細胞培養技術により製造される食品に係る安全性の確保に係るガイドライン(案)」が示され、安全性を確認する具体的なポイントの検討が進みました。あわせて、主婦連合会・日本生活協同組合連合会・全国消費者団体連絡会といった消費者団体からの意見聴取も行われています。

つまり、「売り出す前に、安全をどう確かめ、どう表示するか」というルール(ガイドライン)を、つくる企業側と消費者側の両方の声を聞きながら、ていねいに作り込んでいる段階です。最終的な呼び名や、ふつうのお肉ときちんと区別できる表示のルールも、これから整理される予定です。


どんな「安全チェック」が検討されているの?

むずかしい専門用語が多いのですが、検討中のガイドライン案は、ざっくり言うと次のような点を一つひとつ確認しようとしています。

  • どんな細胞を使うか:健康な動物から採ること。病気の原因になる菌やウイルス、BSE(牛海綿状脳症)の原因物質などが入り込まないこと。
  • つくる工程の衛生管理:食品工場で使われる衛生管理の手法(HACCP)に準じて、培養から加工まで汚染を防ぐこと。
  • できあがった食品の安全性:使ってよい食品添加物の範囲、残った物質、栄養やアレルギーの確認まで、ふつうの食品と同じ法律の基準を満たすこと。

このように、国は「なんとなく大丈夫」ではなく、科学的な根拠をもとに細かく確認する仕組みを作ろうとしています。安心して読んでいただける材料として、ここはお伝えしておきたい点です。


これから決まっていくこと(見通し)

「細胞培養食品(仮称)」については、今後おおむね次のような点が整理・決定されていく見通しです(いずれも検討中の方向で、確定ではありません)。

  • 安全性を確かめるガイドラインの完成:5月28日までに安全性の確認ポイントが具体化されました。消費者への情報提供のあり方なども、消費者団体の意見をふまえてこれからまとめられていきます。
  • 安全性の確かめ方:つくる事業者が「どんな細胞か・どうつくるか・できた食品は安全か」といった情報を国に提出し、国(消費者庁)が確認する——という仕組みを基本に、具体的な手続きが整理されます。
  • 正式な呼び名:いまは「細胞培養食品(仮称)」ですが、関係団体との意見交換をふまえ、文書のとりまとめにあわせて正式な名称が決められます。
  • 表示のルール:消費者が「ふつうのお肉」ときちんと見分けられるよう、表示のルールも整理される方向です。

こうした準備が整って、はじめて「売ってよい」となります。私たち消費者にとっても、選ぶときの大切な目印になりそうです。


牧場直営店として、私たちが思うこと

新しい技術が生まれること自体は、食の未来にとって大切な一歩なのかもしれません。一方で、私たちが毎日向き合っているのは、自社牧場での肥育経験を礎に、産地・牧場と直接つながった目利きと流通で厳選した神戸ビーフや但馬牛、姫路和牛といった、土地と人が長い時間をかけて築いてきた本物の畜産です。

牛が草を食べ、季節をまたいで育ち、職人がその一頭を見極めてカットする。この積み重ねでしか生まれない味わいと安心を、これからもまっすぐにお届けしていきます。培養肉の話題が広がるこんな時だからこそ、「本物のお肉ってこういうものだ」と感じていただけるよう、私たちは私たちの仕事を続けます。


まとめ

  • 培養肉(国の審議会では「細胞培養食品(仮称)」)は細胞を培養して作る新しい食品で、日本ではまだ市販されていません。
  • 2026年5月28日、消費者庁の審議会で安全性確保のためのガイドライン(案)が示され、販売前のルールづくりが一段と進みました。
  • 今後は、ガイドラインの完成・正式な呼び名・表示ルールなどが順に整理されていく見通しです。
  • 牧場直営店 玉家は、確かな目利きで選び抜いた本物のお肉を、これまで通りお届けします。

気になることがあれば、店頭でお気軽にスタッフへお声かけください。


参考にした資料

関連記事